無数の剣戟による伴奏。
阿鼻叫喚による合唱。
破壊の旋律が魔宮を満たす。
迎えたる最終楽章を目前に控え
勇者は知略の限りを投入した。
少女は忌むべく力をも受け入れた。
そして──喪失を経た妖精は、再び両の足で立ち上がった。
都市に響くは、世界を破壊せんと紡がれる詩。
それは『都市の
『
名もなき英雄たちの一群は魔宮を目指す。
全てを護るため。
破壊の詩を止めるため。
長きに渡った『狂乱』を討つために──
神々が人の世に降り立つ、遥か昔
大穴から地上に出でし魔物が地上を跋扈した時代
道化が踊り、英雄の船が出航して十年──
数多の英傑の中に、その『小さき者達』の姿はあった
その名は『フィアナ騎士団』
人々は讃える 王家の槍と
世界は讃える 大陸の守護者と
これは『勇気』を掲げ、『英雄の時代』を駆け抜けた騎士達の軌跡
そして、『聖女』の意志を受け継ぐ、『偽りの騎士』の物語
その地は、悠久とされている
その地は、神の理により護られている
その地は、偉大なる英雄を生み出した
その地は、モンスターが存在しない伝説のユートピア
その地の名は、永久とこしえの神域・オリンピア
閉じられた悠久の地に招かれし、女神の眷族達
古より約束されていた『神の決着たる物語』が今、動き出す──
7年前。
秩序が混沌に塗り替えられ、血が血で洗われる『オラリオの暗黒期』。
史上最悪の惨状に終止符を打つため、「正義」を標榜する一つのファミリアが立ち上がった。
これは、そんな暗黒の時代を駆け抜けた、とある眷属たちの物語……
時は古代と呼ばれるほどの昔日。
地上に神々の姿はなく、その存在すら信じられていなかった時代。
尽きることなく魔物が地上に這い出ていた時代。
強大な魔物に抗う事など、無意味とされた世界。
諦めと絶望が支配し、緩やかな滅びに向かわんとする世界。
かの物語は、歴史家が綴ることなき、小さな男の話。
かの物語は、吟遊詩人が謡い繋いだ、忘れがたき道化の話。
その物語は時を超え、
場所を超えて民草に愛され続けた『英雄譚』──
真の詩に触れた時、語り部は静かに告げるのだ。
『さあ、喜劇を始めましょう──』
それは、最も新しい神話であり、英雄譚。
世界に希望を見たらした偉大な日。
かつての神々の栄光を讃える日に、
「もうオラリオだけの問題じゃない。世界の危機だ」
「我等が創設神、ウラノスの神意は以下の通り!
『──再びこの時が来た。冒険者よ、今一度世界を救え』!」